shinmaimanaのブログ

作業療法士で左片麻痺の障がい者でもあります、両方の視点を持つからこその事が書いていければと思います。

感情労働とブランク

感情労働」は、近年注目されている新しい概念で、社会学者A・R・ホックシールドによる言葉です。

相手(=顧客)の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、または抑圧することを職務にする、精神と感情の協調が必要な労働のことをいいます。

感情が労働内容にもたらす影響が大きく、かつ適切・不適切な感情が明文化されており、会社からの管理・指導のうえで、本来の感情を押し殺して業務を遂行することが求められます。

体を使った作業を賃金に変える「肉体労働」、頭を使って創出したアイデアなどを賃金に変える「頭脳労働」に対して、「感情労働」とはその名の通り、感情を抑えることで賃金を得ます。このように、対人の仕事につく人の多くが、決められた感情の管理を求められ、規範的な感情を商品価値として提供しているのです。

以上は引用となりますが、私自身最近までこの「感情労働」の言葉も耳慣れないものでしたし、概念も理解していませんでした。

私は介護保険制度が開始された年から作業療法士として長いこと仕事をしてきました、介護保険施設訪問看護からの訪問、病院等の色々な形でリハビリテーションを提供してきましたが、作業療法士の業務内容もこの「感情労働」要素を多く含んでいるなと思いました。

この作業療法士という職種、医師の指示のもとリハビリテーションを提供するのが仕事なので医師の指示書が必要だったりするのですが、訪問リハビリテーションを提供していた頃などは患者さんの主治医さんに指示書を書いてもらえるようにお願いしに行ったものです。いなかの基幹病院の先生なんかは高圧的な方も多くて結構ハードな「感情労働」だったのを覚えています『ちなみにこれは介護保険制度開始当初の事なので、現在のように訪問リハビリテーションがある程度広く認知されていれば医師の指示書も利用者さん担当のケアマネジャーさんが医師に依頼して用意してくれる場合も多いようです』。

感情労働」歴が長かった私ですが、30代で脳出血でたおれまして、1年間の入院生活と1年間のリハビリテーションのトータルで2年間は完全に仕事をしていませんでした。

この「感情労働」ブランクがあるとなかなか復帰した際になかなかに精神的なキツさが有ると感じました。

産休、育休から仕事復帰される場合などにもやはり同様の精神的なキツさは有るのではと思う次第です。

私のような昭和世代は気合、根性論で何とかなるのですが、子供たち世代の事を考えると「感情労働」の言葉、概念が広く社会的に認知されるようになれば復職時の精神的な負担の軽減につながるのではと思います。