作業活動も利用者さんに治療的意味を理解してもらわないと生活範囲を制限しかねない?
持ち帰って作業活動を自宅でもやりたいと希望される利用者さんは作業療法士を長くやっていますと何度か経験しました。
認知機能の維持向上に貢献できるならと基本的には提供しています。
活動量が低下した状態では刺激の入力も低下し、認知機能の低下をまねきかねないからです。
ここで、まれにですが作業活動自体に多少過剰にのめり込む方も少数ですが経験しました。
自分の作品がほめられる事で他者認証欲求が満たされる等を繰り返し、他者認証欲求が満たされ易い傾向にある活動だけを行いたがるという事につながるのです。
生活場面にこれを当てはめて考えてみると分かりやすいですが、上手く出来て人からほめられやすい事ばかりを好んで行って、自室からあまり出なくなるなどですね。
レアケースではありますが、特に高齢者の場合、生活場面での活動量の極端な低下は身体機能の低下に直結し易いですので慎重にならざるをえないところです。
対処法も時間制限を強制的にかけさせてもらうことでブレーキはかけられます。
自分が提供した作業活動に利用者さんが、のめりこみすぎたせいで、歩くのが以前よりも大変になった等の結果になっては、悔やみきれないですからね。
↓活動負荷に関しては、外仕事についてもよろしければ。
もちろん、作業活動自体は身体機能的にも認知機能的にも維持、向上につながり非常に良いのです。今回書いたのは、セラピストは利用者さん自身を見ますが、利用者さんは自身の作品のクオリティーを追求して、そこに治療的な意義を理解されてはいない場合も多いので、のめり込みすぎもまれにあります。
セラピストと利用者さん間での作業目的の共有が出来ていないと、作業の治療的効果を損ないかねないって事です。